ATOKについて考える

 昔、NECのPC-9800シリーズでMS-DOSのV3.3やV5.0の頃、日本語変換はFEPと呼ばれていて、ATOKや松茸、VJE、WX2などが有名でした。自分は大学で一太郎のV3やV4.3のATOKから入りましたが、WX2がその軽快さと他のFEPATOKなどとの互換性が強かったりして、一時期、WX2なんかも使っていました。で、Windows 95となってこの辺のFEPIMEと呼ばれるようになり、OSに標準で付いたMS-IMEによって、別途購入することもなくなり、どんどん消えていきました。今、パッケージの商品として残っているのはATOKぐらいでしょうか。そのATOKでさえ、わざわざお金を出して買う人は個人のホビーユーザーか、仕事で使っていて別途購入できる自由な環境の職場か、導入する理由がある日本語入力にこだわりのある業種、出版や報道の文筆業の方面に限られると思います。
 そんなATOKが最近注目されているようです。きっかけは今年2月に元マイクロソフト会長の方のブログで、現在のMS-IMEがどんどん使いにくくなっており、IMEの開発は中国に移転されてしまっている。という内容のものでした。で、この記事を引用した上でやじうまWathcITmediaなどでATOKの良さが紹介されています。まあ、報道サイトといっても、PC系のサイトは商品広告みたいな物ですから、特に後者の記事なんかはジャストシステムからなんかしらのプッシュはあったのだろうと前提の上で読みましたが。
 自分もMacではATOKを使っています。標準で付いてくることえりもいいのですが、なんか普段ATOKになれてしまった身だとスムーズさに欠けます。文書を作成するのに5千円弱払ってもいいと思う感じですね。でも会社やそのほかのWindowsマシンではMS-IMEのままです。さすがにキー割付はATOKにしていますが。企業ユーザーからするとわざわざATOKを別途導入するのは難しいと思います。これを導入することでかなり効率が上がらないとダメでしょうし。さっきも書きましたが、特殊な業種に限られるのでしょう。そこで、いちユーザーが考えたATOKシェア拡大の妄想計画について、書いてみようと思います。

PDF作成ソフトとのバンドル販売

ジャストシステムにはJUST PDFというPDF作成ソフトがあります。今のWindowsで標準でなくて足りない物のひとつにPDF作成というのがあると思うんですね。PDF作成ソフトは無料のヤツがいくつかあるのですが、インターネットにつながっていないと使えないとか、日本語の扱いにやや難あり。ということがあって企業で大量に導入するとなると、無料だとちょっと不安。という場合があります。そこで、これとATOKを組み合わして4千円ぐらいで売るようにすれば、そこそこ買う人はあると思うのですが。ATOKを買うとJUST PDFが付いてくる。みたいなものでもいいのかもしれません。

ATOK無料化

最小限の辞書とコアのATOK部分を無料化して、配布してしまうという物です。で、専門辞書を数千円で売ったり、辞書のバージョンアップを有料化する。あと社内共通辞書配布システムなどでお金を取っていこうという感じ。Adobe Readerのビジネスモデルですね。まあATOKは今、ジャストシステムの一番の稼ぎ頭ですから無理だろうなぁ。

Microsoftジャストシステム買収

案外ありなのがこれでしょうか。でも、こうなっちゃうと、ATOKMS-IMEと同じような末路となり、当然、SolarisLinuxATOKは開発中止。一太郎なんかもなくなってしまう方向になるんでしょうね。困るところがいっぱい出そうです。

 とまあ、いろいろ無責任に書いてみましたが、よくよく考えると、MS-IMEが使いにくくなってもMicrosoft的には全く困らないんですよね。むしろこれによってATOKが売れればジャストシステムにとっていいことであって。ウィンウィンの関係ってやつですか。ユーザーにとっては独占企業の弊害以外のナニモノでもないのですが。結論として、みんな次にPCを買うときはMacにしちゃえばいいんですよ。